金融庁がおススメする公的保険

2022年3月11日に、金融庁は、公的保険の保障内容を理解したうえで、必要に応じて民間保険に加入することが重要であるとの報道発表をしました。公的保険が提供する補償内容を十分理解したうえで、保険や共済加入することが重要です。

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金融庁の公的保険ポータルサイトイメージ

出典:金融庁ポータルサイト「公的保険について」

公的保険と民間保険の関係

民間保険は、公的保険をカバーするようにできています。
ただ、完全な補完関係にあるわけではく、補償内容が一部重複する場合もあります。

金融庁資料

出典:金融庁ポータルサイト「公的保険について」

重複しないサポートを

Frichでは、公的保険と重複しないようなサポート商品を順次ご用意していきます。

補償重複の図

誰がリスクテイクするか?

国や自治体、保険会社が提供する補償や保険は、ある意味では「胴元」である彼らの手元にしっかりとお金が残る仕組みです。

これは消費者目線でみて決して悪いことではありません。むしろ手元にしっかりとお金が残ることによって、万一のアクシデントのさいに支払うお金の原資を確保するという大事な側面をもっています。

すなわち、集める保険料に対してそれ以上の保険金支払いが発生しないようなリスクが「良いリスク」です。一方、その逆は仕組みの持続性が担保できないため「避けるべきリスク」です。

そのような考え方に則って現代の保険商品が発展してきたのだと考えると、公的保険をはじめとする従来の保険商品に対しては、ちゃんとお金が支払われる仕組みなのだという安心感がありますよね。

ただ、現代は複雑化かつ多様化しています。今までと同じようなリスクが引き続き人々の安全や安心をカバーできるのかというと、必ずしもそうではありません。たとえば最近できた保険商品で一躍有名になったのが就業不能時のリスクをカバーする「就業不能保険」です。

こうした現代特有・新しく出現してきたリスクにどう対処するのかが、InsurTechに求められている命題の一つです。
また、それはすなわち、新しいリスクに対して誰がリスクテイクするのかという命題に置き換えることができます。

自家保険という考え方

そのようなコンテクストにおいて従来の領域周辺をどのようにデザインするか、つまり、その周辺領域でリスクテイクする主体は誰か?という話が大切なのですが、それは大きく分けて3つあると思います。

  1. 自治体や保険会社
  2. 自分自身
  3. 自分が所属する企業や団体

まず、自治体や保険ですが、これは今までどおり既存領域で1人でも多くの人に対してしっかりと補償を届けるということが最重要課題になってくるでしょう。

次に、「自分自身」とありますが、これは一体何を指すのかと言えば、自分自身でリスクをとってしまう、ということです。

言い換えれば、保険に入らずに自分の貯金の範囲内でリスクカバーをするということです。このように自分自身でリスクテイクする仕組みを幅広い意味で「自家保険」といいます。

公的保険をベースにそれで足りない部分は民間保険でなく自分の貯金で賄うという考えの人は、まさにこの自家保険の考え方の典型だと言えるでしょう。
なお、現代では、若者を中心にこうした考え方の方が増えているように思います。

最後に、とはいえ、何から何まで自分の貯金で賄えればよいけど、万一のさいの必要金額は一体いくらが適正なのか誰にもわかりません。そうすると「やはり民間保険で・・・」となるわけですが、自家保険をベースに考えた場合、ここでは自分が所属する企業・団体にリスクテイクしてもらうという考えを共有したいと思います。

「福利厚生」を調べ尽くそう

公的保険をベースに自分にとって必要な補償のイメージがつかめている人にとって、民間保険への加入を検討する前にぜひ調べてもらいたいものがあります。それが所属する会社の福利厚生制度です。

福利厚生制度と言っても具体的なメニューについてはピンとこない方の方が多いかもしれません。ですが実は、会社は従業員のために保険的なものを提供していることが多いのです。その代表例が以下の3つです。

1)慶弔見舞金

傷病時や災害に遭ったときなど万一の時に会社から一定のお見舞金等がもらえる制度。読者の方には、傷病時や災害時のお見舞い金こそないが、「結婚祝い金」や「退職餞別金」などを実際に受け取った方もいるのではないでしょうか?

ただ、もらえる金額は3万円(多くても10万円)程度なので、本当に「必要最低限」の金額です。民間保険のように万一の備えとするには金額的に心もとないという点があります。

結婚祝い金30,000円
出産祝い金30,000円
入学祝い金10,000円
傷病見舞金30,000円
災害見舞金30,000円
死亡弔慰金30,000円
退職選別金10,000円
(慶弔見舞金の例)


2)「付加給付」

大企業には「付加給付」という制度がかなり充実しています。ここは万一の備えとして十分活用できるでしょう。

付加給付とは、大手企業などの健康保険組合において、あらかじめ定めておいた1ヶ月間の医療費の限度額を超過した場合、その費用を払い戻す制度のこと。内容は健康保険組合ごとに異なります。

たまに「うちは〇〇健保なので福利厚生はしっかりしている」という言葉を聞きますが、その理由にはこの付加給付があります。

以下の表をみてわかるとおり、どんなに医療費を支払っても一定額に収まるような優しい仕組みがあり、また、万一働けなくなった場合であっても、傷病手当金の上乗せや期間延長などがしっかり組み込まれているのです。

法定給付付加給付
病気やけがをした医療費の7割
(70歳~74歳は8割または7割)
自己負担は最大2.5万円
(被保険者が1ヵ月に支払った合計額25,000円を控除した額を支給)
高額療養費所得区分に応じた法定自己負担限度額を超えた場合、その超えた分を高額療養費として支給自己負担は最大2.5万円
(自己負担限度額から、25,000円を控除した額を支給)
傷病手当金休業1日につき標準報酬日額の
・2/3 相当額
・1.6年間
支給
・標準報酬日額+10%/日を支給
・傷病手当金支給終了の翌日より、標準報酬日額の70%/日を支給(法定給付期間が3年を超えた場合は対象外)
出産育児一時金・産科医療補償制度加入医療機関 500,000円
・産科医療補償制度未加入医療機関 488,000円
1児につき50,000円
大企業の主な付加給付例(上記はイメージのため簡素化しています)

例)高額療養費制度による払い戻し(高額療養費限度額)に対してさらに「付加給付」を行って、自己負担額が8万円になるところを2.5万円にする、などのイメージ。

出典:全日本空輸健康保険組合

3)共済会

JTC系の企業に多いのですが、社員相互扶助のための共済会という組織もあります。先ほど述べた慶弔見舞金や各種レジャー費用の支援などがあります。
なお、大企業でなくとも、中小企業を束ねる共済会に参加することで、共済会のサービスを享受している中小企業などもあります。
共済会については、慶弔見舞金程度の支援がメインなので、やはり「必要最低限」の金額であり、民間保険のように万一の備えというにはやはり心もとないです。

出典:一般財団法人更埴地域勤労者共済会

以上、自治体や保険会社、あるいは自分自身がリスクテイクする間に、自分が所属する企業・団体によるリスクテイク=サポートの提供があります。

公的保険と自分の貯金とで備えるという方には、ぜひ自分が所属する企業・団体の福利厚生を調べていただきたいです。

なお、フリーランスや中小企業にお勤めの方は、上記のうち付加給付の無い健康保険組合にご加入の方もいると思います。その場合、Frichでは「大企業並みの補償を中小零細企業にも」というコンセプトで、付加給付に似たサポートを提供できるようにパッケージ商品を用意していますので、ぜひ企業単位での加入をご検討ください。

団体保険による割引の検討も

ここまで読んで「いやいや保険というのは、発生頻度こそ低いが貯金では賄えないような大きなリスクに備えるものだ。お見舞金や付加給付などはその代替になるものではない」と考える方もいると思います。それはそのとおり。特にお見舞金などは保険とは異なるものです。

そのような方には是非、所属する会社・団体が扱っている団体保険の検討をお勧めします。団体保険は、あなたが所属する会社・団体が保険会社の一部業務を担っているため(保険料徴収などの事務を保険会社に代わってになっている)、保険会社のコスト削減を通じて保険料が割り引かれる仕組みになっています。

企業によっては保険料がなんと30%程度も割引かれる場合があります。

ちなみに「保険を見直す」を「保険料をなるべく安くする」という観点からだけで評価すると以下のイメージとなります。

なお、保険料が安くなれば、懐具合はもちろん改善するけれども、今までと同水準の保障が得られるか、浮いた資金の一部または全部を将来の備えとして貯金・投資できるか、などをしっかり検討すべきなのは言うまでもありません。

コミュニティ単位で加入するから実現できる取り組み

あるリスクをピンポイントでカバーするような商品は必ずしもビジネスベースにのるものばかりではありません。Frichでは、それを実現・持続可能にするためには、コミュニティ単位での加入がとても大切だと考えています。

Frichでは、企業 vs 不特定多数ではなく、顔見知り同士のコミュニティだからこそ、「お金を詐取しようとする」インセンティブが極小化されると考えています。コミュニティベースだからこそ、モラルリスク排除に関わる法務・システムなどの膨大なコストを削減できます。

Frichは、お客様への「還元」第一だと考えているため、膨大なマーケティングコストをかけて加入者獲得することはできません。コミュニティ単位で加入していただくことにより、マーケティングコストを削減することができます。

このあたりの仕組みは、既存の団体保険と同じ仕組みです。

企業に対して不特定多数の加入者という構図ではなく、顔見知り同士のコミュニティだからこそ、知り合いにはアクシデントが起きてほしくないと心から願うのだと思います。コミュニティ単位でリスク回避に努めることができると、万一のアクシデントのときに給付する金額が減少し、結果として掛金をぐっと抑えることができます。