【特別対談】コンビ株式会社のペット事業とFrichの共同開発「ペットカート共済」の商品開発の背景と、これからのペットとの暮らしについて。
富永 ワンちゃんや猫ちゃんを、ペットカートに乗せている時の事故やケガの治療費を補償する『ペットカート共済』がついにリリースされました。開発時には苦労もありましたが、コンビさんがこの補償にかける想いも相当のものだったと思います。
小笠原 「コンビ」と聞いて、多くの方にベビー用品の会社とご認識いただいていると思いますが、ペット事業はまだ十分に認知されていないと思っています。そもそもペットカート自体、ワンちゃんを乗せてお散歩することを好意的に見ていない方もいらっしゃるぐらいですから。私たちはそのペットカートを文化として醸成していくために、メーカーとして購入者様やご検討いただいている方の不安を払拭したいという想いがあります。
富永 ペットカートを巷でよく見かけるようになりましたが、まだ定着しているわけではないんですね。ワンちゃんや猫ちゃんをペットカートに乗せているときに考えられるアクシデントには、どんなものがあるのでしょうか。
小笠原 道端のお散歩ですと、やはり自動車や自転車との接触が考えられます。ですがペットカートに乗っていることで回避できる事故も多くあります。たとえば人の多いイベント会場ですと、足元を歩いているワンちゃんが踏まれてしまうこともあるんですよね。そういう場所でもペットカートに乗っていることで事故を防ぐことができるんです。
富永 ペットカートなら、これまでペットと一緒にお出かけしにくいとされていた場所へも連れて行くことができるんですね。ご年配の方などで、ワンちゃんを抱っこするのが重くて大変なときにも重宝しますよね。
小笠原 はい。元々はシニア犬でお散歩ができなくなったワンちゃんにお散歩ができるようにと開発されたのがペットカートのはじまりなんです。最近は小型のワンちゃんを幼い頃から乗せる方も増えていますし、多頭で利用される方もいらっしゃいます。荷物を入れながらお散歩もできるので、便利で行動範囲も広がるんですよ。
富永 汎用性の高さもペットカートの魅力ですね。ペットは家族の一員ですから、できる限り安全に移動させてあげたいものですよね。
小笠原 私たちのペット事業室ができた背景も、経営ビジョンにもある『家族』に対する豊かで夢のある生活文化の創造なんです。アンケートでもペットは「家族の一員だよね」というマインドがとても表れていて、その『家族』の移動って考えたときにペットカートという選択肢があっても良いのではと。
富永 そこでペットカートをより安心して使っていただくための補償を作ろうと。
小笠原 そうです。昔チャイルドシート保険というのがあって、だったらペットカートの保険ができないかということを保険会社さんに相談したんです。そこからFrichさんをご紹介いただきました。
“わからないことや、やったことがないことに、だからこそやってみよう”という選択。
富永 当時のミーティングで『ペットカート共済』の実現に向けていろんな話し合いをさせていただきました。はじめは保険会社さんと3社で進めていましたが、保険会社さんの体制が変わったりして、新しい保険をつくることが難しくなった経緯がありましたね。開発を進める上でコンビさんとして障害になった部分はありましたか?
小笠原 仮に保険会社さんが入れなくなっても、Frichさんだけでもやるというお話
をいただいていましたし、わからないことや、やったことがないことに、「だからこそやってみよう」と仰ってくださったので、安心して進めることができましたよ。
富永 僕らもいろいろな判断が必要でしたけど、お互いに協力し合えたのでとてもスムーズでした。でも、当社のP2P互助は全く新しい相互扶助の仕組みなので、導入するには社内のハードルもあったんじゃないですか。
小笠原 オーナーの決め方が一番大変でしたね。オーナーが『ペットカート共済』を運営するという考えが関係者になかなか理解されなかったので、決まるまでやきもきしましたよ。いよいよダメかも、と考えた時もありました。
富永 まさに薄氷の上を進む形でやってきたと(笑)
小笠原 そうです、そうです(笑)
富永 『ペットカート共済』がリリースした数日後に大きなペットイベントがありましたね。お客様の多くはそこで『ペットカート共済』を知る機会になったと思いますが。
小笠原 そうですね。お客様も期待していなかったものがポンと出てきたのもあっ
て、ポジティブな反応ばかりでしたので多くの方に受け入れていただいたと思っています。それとやはり代理店さんからの問い合わせもありましたね。期せずしてというところでは、社員からの反応もありました。他部門のメンバーも新しい取り組みを歓迎してくれた様子でしたね。
富永 『ペットカート共済』はまさに家族のための補償ですもんね。「ベビー事業側でもやりたい」とか次の展開を考えられるといいですよね。これを一つのきっかけとして、家族の安心安全な環境づくりに向けてより良い世の中にしていきたいですよね。
小笠原 はい。障壁のない世の中にしていきたいです。最近ではペットカートに乗っていれば、ショッピングモールのような施設にもペットと一緒に入れるところも増えてきました。こうした受け皿も徐々に変わってきてはいますが、ペットカートが文化として醸成していくためにはまだまだ多くの課題が残されているのも事実です。もちろん飼い主さん側の配慮も前提にはなりますが、ペットに関する様々な制約がなくなって、ペットとのお出かけがもっと楽しくなるように、私たちにできることをしていきたいですね。